序章:飢望パラドックス

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かと言って、自分が一体何を求めているのか分からない。私はどうすれば満足するのだろう。 確かな未来? 優しい恋人? 地位や名誉? ……たぶん全部だ。 そんなの、望んだことがない人の方が少ないと思う。 でもそんな欲求とは なんだか違う気がする。 私が欲しいのは、暖かい日だまりにいるような安心感だった。 ただ、それがどうすれば手に入るか分からない。 いつまでも続く訳ではない大学生活。見えない自分の将来。 そういうのから、目を背けたいだけなのかもしれない。
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