揺れる

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ガタガタと揺れるオンボロバスのシートに凭れて、窓の外の太陽を見続けていた。 イヤホンからは、小さな音でルイ・アームストロングの「ブルーベリーヒル」が流れている。 異常なくらいに何もない、この田舎町に引越してきてから、そろそろ1年になる。 いつも、何をしたいとも思わずに、音楽ばかり聴いている。 大きくバウンドして、バスが止まった。 部品がどこかイカれてるんじゃないだろうか? そんなことを思いながら、バスを降りる。 ポケットの中のiPodが、今度はローリングストーンズの「ブラウンシュガー」を流し始めた。 今の気分ではない。 けれど、ランダム再生に任せたままにする。 辺り一面、田んぼと畑の他は何も見えない。 学校まで、あと1km。 毎朝、うんざりしながら歩く道だ。 東京にいた頃も、何も無かった。 あの頃から、いつも退屈だ。 今は、暇つぶしのゲーセンさえ近くに無い。 実り始めた稲穂が、呑気に風に揺られている。 サワサワと辺りに音が響いて、フェードアウトした音楽の合間に聞こえてくる。 悪くないのはこの音くらいだ。 学校が見えてきた。 今日もボロい。 この通学時間をどうにかしたい。 夏休みには、バイクの免許を取りに行こう。 今日も上がり始めた気温に嫌気がさしてくる。 制服のポケットから、携帯を取り出す。 イヤホンを外して、私は圏外を抜けた携帯の電波を拾う。
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