揺れる

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携帯を持った右腕を、不意に誰かに掴まれた。 驚いて振り払う。 「なんだよ!」 叫んで、そこにいた奴の顔を見たら、力が抜けた。 「なんだよ?」 今度は、落ち着いて軽蔑した声を出す。 「番号とアドレス教えて」 同じクラスの田畑。 なぜか、毎日のように私に絡んでくる。 黒髪に黒渕メガネの、どこから見ても委員長スタイルのこの女が、毎日煩わしくてたまらない。 「やだ。何回言ったら、分かんの?」 「お願い、自習の時間にいなくなっても見逃してあげるから」 ちょっと意思が揺らいだ。 「しつこい。まとわりついてくるな!」 吐き捨てて、歩き出す。 あぁ、煩わしい。
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