風、薫る

揺れる

・
教室に入ると、澪が自分の席で寝ていた。
話相手がいない。
みんなからの「おはよう」が、やっぱりとても煩わしい。

この高校には男子が少ない。
だから、山のように女がいる。
そして、面倒くさいことに男がいる。
妙に意気がって、カッコつけようとしているけれど、なによりもカッコ悪くてダサい男共。
女子の顔色を伺ってばかりで、心底気色が悪い。
中3の８月にこの田舎に来て、それから約１年、思えば、気分が晴れた日なんて無い。
いつもイライラしている。

ぼんやりしていたら、いきなり視界が暗くなった。
「だ～れだ？」
田畑だ。