最後の試合

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まだぎりぎり春のはず……。 なのになんでこんな暑いんだ? 私は近くの自販機でサイダーを買った。 侑也どこかな…? しばらく、足を進めると、 侑也と思われる人物が 俯いてベンチに座っていた。 私は黙って侑也に近づく。 俯いてるせいで、私に気づかないようだ。 なんとなくさっき買ったサイダーを 侑也の頬につけてみた。 「ぅおっ!!」 侑也が驚いて顔を上げた。 「あは ほら、サイダーあげる。 喉渇いてるでしょ。」 「なんだ環か…。 サイダーって スポーツの後はアクエリだろ。」 侑也は一瞬こちらを向いたが すぐまた俯いた。 「でも、サイダー好きでしょ。」 私は侑也の隣に座った。 このユニホームも今日で最後。 うちのユニホームは紺色で 白字で "広凌”と刻んである。 早かったな… 3年間。 「暑いねー。」 プシュ 私はサイダーの蓋を開けて一口飲んだ。 その音を聞いて侑也がこっちを向いた。 「おま…それ俺のために買ったんじゃないのかよ。」 「だって、飲まないんだもん。 ほら、いるなら早く飲みな。」 そういって差し出す。 .
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