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「お父さんとお母さんは、魔法使いなんだ」 あまりにも突拍子の無いカミングアウトに、大村悟(おおむら さとり)は頭が真っ白けになってしまった。 オーバーヒートで突然シャットアウト状態。 現在再起動を実行しているが、それにもしばらく時間が掛かりそうであった。 「確かに突然こんなことを言っても信じられないと思うわ。でもね、本当のことなのよ」 そんなことを言われても、現在思考能力という名のCPUは完全に落ちてしまっていて悟にそんなことを考える余裕はさっぱり無い。 出来ることといえば、こうなった原因を振り返ることぐらいのようなので、起動を終えるまで悟は小一時間分ほど過去を振り返ってみることにした。 そう、大体一時間ほど前に学校が終わったのだ。 今日は特に予定がなかったから、真っ直ぐ家に帰った。 そうしたら父親が突然、 「ちょっと話がある」 なんて言って自分の部屋に引っ込もうとした悟を呼び止めたのだった。 「どうしたのお父さん。私、今日は珍しいことに宿題をしようと思ってるんだけど」 「悪いな、それほど時間は取らせないから。――母さんも、こっちに来なさい」 異変に気が付いたのは、そうやって呼ばれてきた母親が神妙な顔をしていたからだった。 自分の前に正座をして座る両親。 当然、悟も正座になる。 「実はな、お父さんとお母さんはずっとお前に隠していたことがあるんだ」 「え?」 暗い雰囲気で話し始める父親を見て、悟はようやくこれって、何か重い話なのか? と至り始めた。
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