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「---、起きろ…。」
私は閉じていた瞳を開けた。大切な人が私を呼んだ気がした。あの優しい彼が私を呼んだ気がした。でも、現実は残酷でさっきまでいた彼はどこにもいなかった…。残っていたのは灰…。
「どうして…?」
涙が止まらない…。その時、また彼の声が聞こえた。それは優しすぎて、彼が生きているという気持ちにさせる…。
「---、愛してる。俺を許せ…。」
「私も貴方を愛してる!!でも、私は貴方を殺してしまった…っ!!」
「泣くな…。それは俺が望んだ事だ…。」
「でも…っ!!」
そう叫んだ私の前に彼がいた。けれど、彼の身体は透明で幻影だと知る。彼は見えない手で私の涙を拭い、優しくキスをする。それはとても冷たかった…。
「---、愛してる。だから…俺を忘れろ…。」
「…っ!?いやっ、それは絶対にいやっ!!」
彼が私を抱き締め、耳元で何かを呟いた。突然、眠くなった私は意識が途切れる瞬間、彼が泣きそうな顔をしていたのが見えた…。
意識を失った少女を愛しそうに触れながら、ヴァンパイヤは囁いた。
「---、愛してる。」
それはどこか悲しい声だった。そして、ヴァンパイヤは完全に消滅した。残ったのは、眠る少女のみ…。
―少女は神に答えを求めた。自分の罪を…。
神は少女に何も答えない。ただ静かに少女を見るだけ…。
ねぇ、私はどうしたら貴方に会える?
愛しい私のヴァンパイヤ…。
~END~
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