プロローグ

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男性は、化け物の方に目を凝らし、女性の方には見ない。 一瞬でも目を反らすと、化け物に何をされるか分からないからだろう。 それでも女性のことを気に掛ける。 「えぇ、大丈夫です」 女性は唇を震わしながら応えた。 「そうか。そりゃ良かった」 男性は心底安心したように言った。 女性は安心してか、その場に座り込んでしまった。 「あっ、あの、一体あなた何も――」 「ギャアァァァ!」 「何者なんですか」と訊こうとした女性の言葉を遮るように、化け物は叫んだ。 今までの砲口とは違う叫び声で。
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