闇の片鱗

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シュウが言ったエイルの本名を聞いた瞬間、部屋に居る数十名の役員のうち、何名かの表情が険しくなった。 一方で、聞き覚えの無い名前を聞いてキョトンとしている者も居た。 リンディ「えっと、マシタ大佐。そのエヴァン……って人は誰なのかしら?」 上層部の中に居たリンディが代表して聞いた。 シュウ「あぁ失礼。エイルのフルネームです、エヴァン・イシュル・ジル。頭3文字とってエイル」 それで納得した表情を浮かべたリンディ。他の役員達も、そんな顔だった。 「随分と調べたようだな?」 シュウ「……彼に関しては、まとめて報告書を送るつもりでしたので。まぁ今知らなくてもおかしくは……ないですよね」 「それで?続きがあるのだろう」 シュウ「えぇ。実は、エイルを倒した時……身体から、血液などの人間の体液とは違う……何かが流れましてね。ひょっとしたら~何て話も持ち上がってまして、あぁ只のネタですけどね、ネタ」 全て嘘だった。実際、もしそうだっとしても、シュウやその場に居た六課メンバーも気付く筈が無かった。それほどに、精巧に造られているからだ。 エヴァンの名前を聞いた役員達を、その後もブラフを使って炙り出していった。 シュウ「(ここまでだな……)自分からは以上です。連邦の議会には、今回の件はちゃんと報告しておきます。それでは失礼します」 最後に一礼した。その時のシュウは、その場に居る役員達の中に、生前のエイルと関わり、暗部の人間が居る事を確信して不敵に笑っていた。 部屋を出ると、すぐにラインを使ってニーナに回線を繋げた。 シュウ「ニーナ、今記録した映像は見たか?」 ニーナ『はい、確認しました。えぇと……確認した限り、20名ですね』 シュウ「多すぎだろ……」 自分が目視したので5人程度、実際はそれ以上居た。
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