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声が聞こえる…
その声は僕を呼んでいる…
優しい声。
それはまるで、素晴らしいことをした子供を誉める親のような、悩みを打ち明けてくれた友人を慰める親友のような、そんな声だ。
だが、何を言っているかは解らない。
声のするところまでの距離が遠いのか、ぼやけていて聞き取れない。
しかし、その声が僕のことを呼んでいる…
何故かそれだけは解るのだ。
僕は行かなければならない。
そこに行かなければならない。
これ以上待たせては失礼だ。
待っていて…
今から行くから…
僕はあるのかも解らない自分の手を精一杯伸ばした…
ピピピピピピッ
ピピピピピピッ
ピピピピピピッ
静かな部屋に渇いた機械音が鳴り響き、僕は目を開けた。
目の前に見えたのは、何もない、無機質な天井だった。
「朝か…」
誰に言うでもなく呟いた
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