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僕は朝は強い方だ。
よく、朝はなかなか起きられないとか、布団の中でぬくぬくするのが幸せだとかいってる奴がいるが、僕にはその気持ちが全く解らない。
僕は足早に着替えを済ませ、二階の自分の部屋から出て、一階へと向かった。
そこには、焼かれたばかりの食パンと、少し焦げ目の付いた目玉焼きが三人分置いてあった。
「おはよう…」
僕は台所で弁当を作っている母親に一言朝の挨拶をしてから食卓へと付いた。
「おはよう。いつも起こしに行かなくても勝手に起きてきて偉いわねぇ」
母はそう言って僕をよくほめるが、別に自分は普通のことをしているだけなので、大して嬉しくはない。
「悠介はいつも自然に起きてくれるから助かるけど…
お父さんは悠介をもっと見習うべきね」
そう言いながら母は二階の父親の寝室へと向かった。
悠介とは、僕の名前だ。
東流悠介。それが僕に付けられた名前だ。
よく、《トウリュウユウスケ》と呼ばれるが、それは間違いだ。
正しくは《ヒガシカワユウスケ》だ。
普通には絶対に読めないので、印象に残りやすいのだろう、すぐに正しく覚えられる。
なので、普段は別に名前で苦労することはない。
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