呼び声。

4/16
前へ
/60ページ
次へ
しばらくすると父親も降りてきて、弁当を作り終えたらしい母親と共に食卓へと付いた。 『いただきます』 三人同時に同じことを言ってから、僕はパンの上に目玉焼きを乗せ、一気にかじりついた。 朝は必ず親子揃って食卓に付き、一緒に朝食を食べる事が我が家の決まりになっている。 「悠介、お前は今日も学校なのか?」 「そうだけど… 当たり前だろ?今日は月曜日なんだし。」 父親の質問に対し、あからさまにめんどくさそうな態度でかえした。 「なんだ? この頃やけに機嫌が悪いな… 学校で何か嫌なことでもあったのか?」 「べつに…」 この頃の自分は朝はいつも機嫌が悪い。 それはそうだろう。 誰でも幸せな夢を見ている最中に、不快な音で起こされては機嫌のひとつやふたつは悪くなるだろう。 そう、僕にとってあの夢は幸せな夢なのだ。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加