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僕があの夢を見たのは一度だけではない。
今までに何度も見ている。
しかし、全く同じ夢を見るわけではない。
見るたびに変わるのだ。
どこが変化しているかと言うと、少しずつ声が大きくなっているということ。つまり、声の主までの距離が日に日に近くなっているということだ。
他の人から見れば、あの夢のどこが幸せな夢なのか理解することはできないだろう。
だが、自分にとっては幸せとしか感じられないのだ。
「ごちそうさま」
「食べるのが速すぎよ?
ちゃんと噛んでるの?」
「噛んでるよ…
行ってきます」
僕は三人のなかで一番早く朝食を食べ終わり、鞄を手に取ると、少し早めに家を出た。
何をするわけでもないのだが、無性にじっとしていられなかったのだ。
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