呼び声。

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「行ってらっしゃい! 気を付けてね!」 という母親の言葉を背にして家を出た僕はゆっくりと歩きだした。 まだ学校へ行くには早い時間なので道には人影がまばらで、町は閑散としていた。 「ふぅ…」 僕は一度、大きくため息を付いて、覚めてきた頭で夢のことについて考えてみることにした。 夢の声は、恐らく女性のものだろう。 女性と言っても声の高さから言って年齢は僕と同じ15歳程度だろう。 しかしその声にはどこか優しさがこもっている。 僕を、僕のなにもかも全てを包んでくれるような… 僕はそこに安心を感じ、喜びを覚えたんだろう。 しかし何故、彼女は僕を呼ぶのだろうか? 助けを求めているのだろうか? そうだとしたなら、彼女は何に困っているのだろうか… 今の僕にはなにも解らない。 ただもう一度、いや、彼女に出会えるまで、何度でもその夢を見たいと思った。 そうこう考えてる内に、自分はもう校門の前に立っていた。 金森私立高校。 それが僕の通う高校の名前だ。
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