呼び声。

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僕はまだ僕以外の生徒が一人もいない教室へと入り、静かに自分の席へと座った。 僕の席は窓側なので、窓を全開にして縁に左肘をかけ、左の手のひらの上に顎を乗せて外を眺めた。 まだ数は少ないが、青みがかったセーラー服の女子が校門に向けて歩いてきている。 金森高校は、今では男女共学の一般校だが、昔は女子校だったらしい。 なので、今でもその名残で男子の人数が女子より少ない。 まだ入学して2ヶ月程しか経っていない僕にはまだ、全校生徒の4分の3は女子というハーレム状態には慣れていない。 「おはよう東流くん 窓の外なんか真剣に眺めちゃって、女子高生の観察かな?」 僕が外を見ながら呆けていると、後ろから声がかかった。 「西村か… 違うよ、ただ何もすることが無かったから…」 「何もすることが無いからって女子高生をじろじろ見てるの? いやらしー」 彼女の名前は西村近衛。 彼女はいつもそうやって僕を茶化すから少し苦手だ。 「だから違うって!」 「今さら言い訳なんて見苦しいぞ!」 「はぁ… もういいよ…」 「認めたな!ヘンタイ!」 「だから違うって!」 西村と話していると疲れてしょうがない。
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