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目の前に、目を細めて優しく笑う幸。
消えてしまいそうに美しい。
「ゆ、き………なんだよな」
確かめるように言葉を紡ぐ。
「なに、まだ疑ってるの?
幸だよ!生きてるよ、ほらあったかいでしょ」
「え………わっ、ぅわっ」
突然幸に抱き締められた。
驚いて叫んでしまったし、身長差が恥ずかしかった。
行き場を失った両腕が固まる。
「ずっと藤村に触りたかったんだよ………」
静かな中に幸の声が響いた。
すっぽり埋まった幸の胸に鼓動が鳴いていた。
僕はその音に耳を傾ける。
僕と同じ、はやさ。
落ち着いた。
体があたたかくて、このままじゃ泣いてしまう。
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