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「ねぇ、藤村。
俺のことつくってくれてありがとう」
「え、あ、いや…」
ごめんなさいだよ。
僕の勝手で……
「俺、藤村に必要とされて嬉しかった」
幸はそういってまわした手に力をいれる。
「なんで、現われたの…?」
乱れることない鼓動。等しく僕らをを刻む。
「藤村が呼んでくれたでしょ?」
「僕……?」
「うん、そうだよ。
だからね」
僕は耐えられずに感情は溢れた。
幸がそんなことを言うから。
泣かすために言ってるとしか考えられないよ。
僕が多分求めたものがこの腕の中にある気がしたから。
「だからね、藤村は独りじゃないんだよ。
俺が藤村の友達だからね」
僕は思わず幸を抱きしめ返したんだ。
はなさないように
きえないように
今更、夢だなんて言わないで。
「あはは、もー泣かないでよー
はなみずついちゃうじゃない」
そういって僕の頭を撫でた幸の手はあたたかかった。
微笑む幸の表情が簡単に思い浮かんだ。
その笑顔が僕を溶かしていく。
僕は笑いながら止まることない涙をこぼした。
心臓よりも少し上の辺りがすごくあたたかかった。
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