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本棚に背中をあずけて、あたる陽に目を閉じた。
泣き止んだ僕の頭を、幸はたえず撫でる。
優しくてやわらかくて。
猫にでもなった気分だ。
少し、…だいぶ、太陽が移動した気がする。いったい今何時間目だろう。
僕は授業をさぼったことはないので、何か違和感を覚える。
でも幸となら、ずっとこうしてたっていい。
「藤村………」
「ん――……」
幸が僕を呼ぶけど、僕はまともな返事をかえせない。
眠たい。
熱に浮かされたみたいに、頭がぽーっとする。
「俺にとって藤村はたった一人の大切な友達なんだよ」
うん……
「藤村にとっても、俺だけなんだよ」
うん、知ってる…………
「忘れないでね」
「―――――――っ……」
そういって幸は僕の頬を撫でた。
その瞬間、僕は催眠にでもかかったように意識をとばし、体を幸へあずける体制になった。
「俺たち、友達だよ」
聞こえてしまった、暗示の言葉。
重く、優しい、束縛の言葉。
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