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「おーい、まだ誰かいるのか?」
「っ」
未だチャイムは響く。
閑散とした図書室に男子生徒の声が響く。
閉館する時間だ。
「す、すみませんっ
今出ます……っ」
僕はおろおろしながら立ち上がって、かるく埃をはたく。
幸以外の人は怖くて、そのとき僕の膝から落ちたものに気がつかなかった。
「なにやってんだ、そんなところで……
って、藤村?」
「え……」
「なんだよ、藤村か」
だっ誰……
クラスの人だろうか。分からない。というか知らない。
でも僕にとって幸以外の人。
とにかく部屋を出ようと出入口へ急ぐ。
「あっちょっと待てよ、
なんか落としてるぞ、ノートか…?」
男子生徒は僕を引き止めるが、ノート?持ってきた覚えはない。
「ほら」
「!」
男の子が近づいてきて僕に手渡したのはちいさなノートだった。探してた幸。
幸……………
どこいってたの……………
「え、どうしたんだ…?」
「ぅ、…え?……な、にがっ…」
「何がっておい、大丈夫かお前」
「うっく……ぅ……」
また溢れてしまった。
弱い僕が、
幸に触れるともっと弱くなる。
「おい……、………!」
心配して僕の肩に触れた男子生徒の手に身を震わしてしまった。
見上げると、明らかに怪訝そうな顔。
「っ……」
ため息が聞こえた。
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