*陽だまり

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「はー、 俺、戸締まりしてくるからお前ここで待ってろ」 「っえ……」 「いいな」 「は、はいっ……」 僕に命令すると、頭をぼりぼり掻きながら、男子生徒は戸締まりを確認しだした。 僕はその場に座り込む。 怖……かった、 2年にあがって初めて幸以外の人と話した。 「う――幸っ……」 僕は手のなかのちいさなノートを握り締めた。 ねぇ、僕の手に触れてよ。 どうせさっきの男子生徒にもこの後からかわれて笑われるか、屁理屈いわれて殴られるかなんだ。 だからその前に、 『藤村、帰ろう?』 「ゆ、ゆき――――……」 いない。 なんで。なんで? いつも呼んだら来てくれるのに。 友達じゃなかったの、僕ら。 僕の目の前にあるのは壁だった。 僕の手のなかにあるのは妄想の残骸。呼吸なんてしない。 形ある幸に触れてしまったから…このノートじゃ寂しさが埋まらないよ。 .
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