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「俺、同じクラスの図書委員。
結城だ。」
「えっ?」
「だから、ゆーき!覚えろよ!」
「あ、う、うん…」
びっくりした…
〝ゆき〟ってきこえた。
ゆうき…………
「はい、じゃぁもう帰るぞ」
「う、うん……」
気がついたら僕の顔はふき終わっていて、外は暗くなりかけていた。
図書室の時計は8時前をさしている。夏だからまだわずかに明るい。
今から夕飯作るのは面倒だな…
「おいぼさっとすんな、閉めるぞ」
結城が出入口のところで僕を促せば、僕はちいさなノートを落としかけてあわてて拾う。
こんな図書室施錠したって、盗むものなんてない。
「じゃ、鍵返してくるから、昇降口にいろ。」
「うん……」
これは………一緒に帰る感じかな?
どうしよう怖い。
でも逃げたら明日が怖いし…。
僕は仕方なしに、結城が職員室に鍵を返し、帰ってくるのを待った。
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