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「はーっ、ただいま…」
自分で家の鍵を開けてはいる。
部屋に入ったって誰もいやしない、いつものことだ。
玄関から伸びる廊下は暗く静まり返っている。
目の前の2階への階段も天井にとけていく。
けれど今日はそれが気にならなかった。
腕時計を見ると22時だ。
あれからファミレスで一時間くらい食事をしながら結城と話をしていた。
今日が金曜日ってこともあってか、
小さい子供を連れた家族が多くて
僕らは少し浮いていた。
結城は寿司の方が良かったんじゃねぇか
ってぶつぶつ言っていたけど。
結城本人が寿司を食べたかったのか、
ここが恥ずかしいのか知らないが、
僕はおかしくて結城を見られなかった。
で、そこの会計の時ちょっと争いが起こって、
結局お金は全部結城が払った。
その後、また街をしばらくぶらぶらして
ゲームセンターに入ったりなんかした。
そんなところに入ったことがなかった僕は、
怖かったので、行きたくない
といったけど結城は僕の手を強引に取った。
でっかい結城にひっついて、
そこでまた1時間くらい。
そこでも僕が財布を開けることはなかった。
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