俺は今日もHEROを気取る。

血に染まる

「お前、何で自分で自分を傷つけるんだよ!?…それにさっき男が鉄パイプで殴りかかって来たときだってお前は避けなかった…一体なんで避けなかったんだよ?」

この女の考えがよく分からない。
分からないからこの女に聞くしか方法がない。

俺の真剣な目を見て女は力なく笑って答えた。

｢我は死にたいのだ。

だが我は自分では、自分を殺せない…他人が殺してくれぬ限りいくら祈ろうが死ぬことができない。

だからあの男なら我を殺してくれると思って鉄パイプを避けなかった。

だけど死ねなかった、どうやら鉄パイプじゃ死ねないみたいだ。

…お主のあの水の魔法は強力だ。お主は相当腕の立つ魔道士なのだろう。

……お主、我の事を殺してはくれぬか?」

そう言い終わったと同時に女は意識を手放し倒れ混んだ。

意識を失う前に俺の目の前で微笑むこの女が酷く儚く見えた。