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「…っ、遥!!!」
かん高い声が教室に響き渡り、同じくあたしの耳にもキーンッと響いた。
あたしは自然と顔をしかめる。
あたしの前には、仁王立ちの女の子。
思わず溜め息が出た。
この女が、先輩の演技に一番騙されている東城由利亜(トウジョウ ユリア)。
幼稚園からの付き合い。
でも、会う度に言い合いになる。
あたしは嫌いだ。
いわゆる、腐れ縁だなんて言うけど、あたしは一度も由利亜と友達で良かったなんて思ったことがない。
「ちょっと遥!?」
彼女は机をバンッと叩く。
「うるさい」
あたしは机に置かれた由利亜の手を払う。
「なっ、なんなのその態度は!!」
「黙ることを貴方は知らないんですか?」
由利亜は、相変わらず"キィィィイ!"とあたしの態度に苛立ちを見せていた。
「…東城さん」
後ろから聞こえた先輩の言葉に由利亜は、人が変わったかのように振り向いた。
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