*辛口な彼氏。

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  「遥、進路調査表を白紙で出していたから…悪いんだけど、東城さん手伝ってもらえないかな?」 先輩の必殺技の王子様スマイル。 この必殺技を使うと、大体の人がイチコロ。 あたしと由利亜は、恋のライバルでもある。 由利亜は入学当時から先輩に惚れていて、あたしは由利亜が告白する前に気持ちを先輩に伝えた。 "早い者勝ち" この言葉がよく似合う。 最初はモテる先輩の彼女になれて嬉しかった。 今でも嬉しいよ。 でも、あたしには見せない笑顔を他の子たちには見せてるんだもん。 それが演技の笑顔だとしても、あたしにだって笑ってほしい。 腹が立ってきたあたしは、急に席を立ち教室を後にした。 勝手だってわかってるよ。 あたしが独占欲強いだけ。 ヤキモチ焼きなだけ。 先輩を好きすぎなせい。 好きなのも、一緒にいたいのも、全部全部…あたしだけ。 先輩は…あたしのこと好きなの? 伝えることも出来ず、行方を知らないこの気持ちは、もう耐えきれない程まで来ていた。
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