205人が本棚に入れています
本棚に追加
また眼鏡を外して、あたしを見つめてくる。
先輩のこんな瞳…
慣れてるはずなのに、思わず目を反らしてしまう。
聞こえてるんじゃないかってくらいうるさい心臓。
「遥、こっち見て?」
さっきの冷たい態度とは正反対。
先輩は私の頭を優しく撫でる。
優しく重なる唇は、私を素直にさせる。
ずるいよ…先輩ずるい。
あたしの弱いとこ知ってるからって…
名残惜しそうに離れた唇に、今度はあたしから唇を重ねる。
これも、先輩の思い通り。
近くでもわかる、先輩のニヤケた顔。
「んっ…大好き…」
あたしにばっか好きって言わせてさ…
先輩の口からも聞きたいよ…
先輩の腕に包み込まれる。
先輩の温もりに、視界がゆらゆらと揺れる。
抱き締める先輩は、優しかった。
まるで、今にも壊れてしまうかのように、優しく優しく。
最初のコメントを投稿しよう!