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「俺は……
好きじゃない」
「えっ……?」
一気に胸が苦しくなる。
溢れ出した涙は、止まることを知らない。
校庭から聞こえる部活の声も、同じ階にある音楽室から聞こえる吹奏楽の音色も、学校の前をいつも通る選挙カーの声も、
何一つとして、今のあたしの耳には入ってこない。
全部の音が遮断されて、先輩の声が頭の中で響く。
どんなに耳をふさいでも、聞こえる先輩の言葉。
あたしは先輩から目を反らし、しゃがみこむ。
先輩は慌ててあたしを抱き寄せた。
「いや、違うんだ。
そういう意味
じゃなくて……!」
違う…?何が違うの?
好きじゃない…
そう言ったのは先輩でしょ?
あたしの中で何かが切れた。
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