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「遥」
「……」
「遥」
「…」
「…遥」
いつもと違う低い声。
最後の声は完璧に怒ってる。
久しぶりの怒っている声に背筋が凍る。
「一緒に帰ってくれる気になりました?」
あたしが笑顔で言っても、いつも彼は冷たい。
あたしだけに見せる"本当の笑顔"は、今まであっただろうか。
「寝ぼけてるのか?」
先輩は、鼻で笑って眼鏡をかけ直す。
わかってるんだ。
貴方はあたしを彼女として見てくれない。
そんなの、最初からわかってた。
覚悟してたことなのに、いざ実感すると泣けてくる。
あたしと先輩が付き合うきっかけなんて、特別すごいものでもなかった。
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