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告白したときは、あんなに甘かった先輩が、こんな冷酷なドS人間になるとは、誰が予想しただろうか。
あれから、キスなんて一度もされていない。
キス魔だなんて嘘。あの時だけ。
今じゃ、付き合ってるのかすらもわからない。
"ただの後輩"に戻ったんじゃないかって、いつも不安で仕方がない。
あたしは耳をふさいで、再び机にふせる。
大きくて細い手があたしの頭の上に乗るのがわかった。
優しく…じゃなくて、グリグリと優しさの欠片もない。
「…これはなんだ」
先輩の言葉にあたしは顔を上げる。
目の前には一枚の紙っぺら。
《進路調査》と書かれた文字。
ウチの高校は、一年生の時点で進路を考えなければいけない。
あたしは白紙で出したのだ。
将来なんてわからない。
あとあと、夢が変わるかもしれないし。
高校一年生なんて、まだ子どもで、大人の社会の仕組みすら知らないのに。
とりあえず大学に行っておけ、なんて先生は言うけど、とりあえず…で楽しい人生が歩ける自信もない。
将来がはっきり決まってる先輩は、あたしの気持ちなんかわかる訳ない。
だから…つい
「先輩には関係ない!!!」
って言ってしまったんだ。
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