智志

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「おじゃましま~す」 コンコンと二回ノックをしたあと、嵐が入ってくる。智志にしては珍しいお客様だ。 「どうぞ」と一声かけてお茶を出す。 自分の大好きなお茶。 そこら辺にある自動販売機で買えるような、ペットボトルに入った、冷たい飲み物。『さおり』 智志が一方的に愛しているお茶で、冷蔵庫には数えきれないほどのストックがあるほどだった。 「あ、ケーキ持ってきますね。」 そう言って立ち上がり、キッチンへと姿を消す。 今まで静かにお茶を飲んでいた嵐が、ふと懐かしいというように思い出話を語りはじめた。 「そういえば、智志ってこのお茶好きだよな。入学初日も買ってたし。お前の彼女って・・・この『さおり』だっけ?」 唐突に何を言うかと思えば・・・。 確かに俺の彼女は、この『さおり』だ。
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