episode.6

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空からしてみればこれはよくある日常の食事風景。 本来なら幾種類もの猛獣達が犇めき慟哭が絶えないこの森は今は骨が砕かれる音と肉の筋を引き裂く音だけが響く。 部位などまるで関係なく自らの歯が噛み砕ける全ての部位を咀嚼して糧にしていく。 呑気に食事をしていればそれこそ襲われそうなものだがこの森に住む全ての猛獣達が空を絶対的捕食者として認識された空は悠然と食事を摂ることを可能としている。 「──ごちそうさま」 両手を合わせて空は食後の挨拶をする。 「早いが遅いな…」 20分ほどで文字通り魔獣を骨まで食べ尽くした空の背後から純香が姿を現し、声を掛ける。 「相変わらず食欲旺盛な奴だ。その内放っとけば学園の食料庫を食い潰しかねん」 煙草を吹かしながら魔獣の残骸を見て純香は呆れたように言う。
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