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「珍しいね~,恋(レン)がドラマ出演とか」
楽屋に入ってきた雫(シズク)が,そう言って笑う。
「新曲タイアップの為」
あぁ,なるほど。そろそろ売れないとマズイのはコイツもわかってるわけね。
親父さんの事務所に所属して,道楽的に音楽もやっていけたのに…外でやる事を選んだ恋。
「…も-,雫クン邪魔しないでよ」
「…ごめんね-,でも君,邪魔」
にっこりと笑いながら雫が俺に跨ってた女の子をバッサリ切って捨てる。
「なっ!!!何様なのよっ!!!」
あ-あ,今夜の宿…探し直さなきゃだな。
「…つ-かさ,君どうやってここ入ったの?今日の会見,関係者以外立ち入り禁止だけど」
「そ…それは…あなただって一緒じゃない!!」
「…俺は,この建物のオーナーの息子なの。立派に関係者」
指を指し,『バーン』とかやってる雫を見て力が抜けた。
大体,オーナーの息子が関係者って無理やり過ぎだし。
「…アンタもういいよ,出て行って」
すっかりやる気を失くした俺は目の前の女の子に冷たく言う。
「え?ちょ…恋?」
「だから,もういいって。ご苦労様」
そう言って手首を掴み,楽屋から追い出す。
「…自分から誘っておいて最低!!!」
「…その誘いに乗ったの,アンタだろ(笑)」
バタンとドアを閉めれば,バタバタと走り去る音がした。
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