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優奈は嬉しそうに両手を合わせて頬を少し朱色にさせて笑顔をさらに際立たせている。
「実はね、私の家は両親だけで八百屋を経営してるんだよ。
最近は不景気だからなかなか雇える人が見つからなくて人員不足なのが現状なんだよ。」
(なるほど、その手があったか)
しかしそれにすぐ乗る程、過去を水に流せるわけではない。
どっちかと言えば、過去は引きずる方だ。
「せっかくの良い話のようだけど俺は止めておくよ。」
すると優奈は、期待の色をにじませていた表情が一気に引いていった。
「で、でも助けてもらったお礼がしたいし、このままだと独り身で危ないよね?それに人員不足なのは本当だし・・・
ううう」
優奈は早口で口走ったかと思うとまぶたに大粒の涙を溜め始めた。
凄く分かりやすい。
こんな手に乗らない手はないと決心した。
「分かった。
とりあえずこの事態が落ち着くまでそっちで働かせてもらうよ。」
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