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"え?俺を呼び出すからには何か利益があるんでしょうね?"
迷惑そうにするあいつの声がリアルに想像できる…
スンマセン、ないです…。
どっちに転んでも損しかありません。
てか、何で想像まで後輩に馬鹿にされてんだ俺…
いや、この際
先輩の威厳とか関係ない!
(あってないようなもんだから)
潔く、仁宮を呼ぼう!!
(情けねーな、俺)
結局、脳内サミットにて自尊心をかなぐり捨てる法案が可決され、
携帯の画面で点滅する仁宮の電話番号を確認しながら、受話器に耳をあてる。
「あ…あの、
もしもし仁宮?」
『もしもし、
どうしたの?先輩。』
良かった……、
とりあえず出てくれた。
「今時間、空いてる?いや、その…申し訳ないんですが…少々相談したいことが…」
『今ですか?今は―…』
あれ、声が遠くなった。
電波の具合か…?
『あ、もしもし正ちゃん?
おれおれ~っ。』
「三ツ葉…」
お前はオレオレ乱入詐欺か。
「2人でいるってことは、今はまだ帰宅途中ってこと…?」
『ううん、今久しぶりにカラオケにいるよーっ。でね、今ねっ、採点のやつで新記録出したの。スゴくないっ?』
「うん、分かった。嬉しいのは分かったからとりあえず落ち着け。」
今、お前がビビったであろう女子高生のテンションより高いぞ。
『…―ちょっとお前途中で代わんなやっ。あ、もしもし?そういうことなんで、今カラオケにいまーす。』
「あ、もしもし仁宮?
ちょっと相談…」
「あとちょっとで俺の曲始まっちゃうんで、それじゃっ。』
あ、切れた…。
完全に、先輩の頼みよりカラオケだったじゃん。
何で先輩<歌なんだよ。
どんだけナメられてんだよ…
「あーもーっ、どうしろって言うんだよ~っ。
……ん?」
何だこれ、ダンボールの一番下にメモみたいのが…
"3104様へ。
サンプルとしてこちらの試作品No.3104をお渡しします。"
3104って…
俺の部屋の番号…
てことは…
俺宛てってこと…?
この人形って、
俺のモノなの…!?
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