7月下旬 雨 種を植える

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"え?俺を呼び出すからには何か利益があるんでしょうね?" 迷惑そうにするあいつの声がリアルに想像できる… スンマセン、ないです…。 どっちに転んでも損しかありません。 てか、何で想像まで後輩に馬鹿にされてんだ俺… いや、この際 先輩の威厳とか関係ない! (あってないようなもんだから) 潔く、仁宮を呼ぼう!! (情けねーな、俺) 結局、脳内サミットにて自尊心をかなぐり捨てる法案が可決され、 携帯の画面で点滅する仁宮の電話番号を確認しながら、受話器に耳をあてる。 「あ…あの、 もしもし仁宮?」 『もしもし、 どうしたの?先輩。』 良かった……、 とりあえず出てくれた。 「今時間、空いてる?いや、その…申し訳ないんですが…少々相談したいことが…」 『今ですか?今は―…』 あれ、声が遠くなった。 電波の具合か…? 『あ、もしもし正ちゃん? おれおれ~っ。』 「三ツ葉…」 お前はオレオレ乱入詐欺か。 「2人でいるってことは、今はまだ帰宅途中ってこと…?」 『ううん、今久しぶりにカラオケにいるよーっ。でね、今ねっ、採点のやつで新記録出したの。スゴくないっ?』 「うん、分かった。嬉しいのは分かったからとりあえず落ち着け。」 今、お前がビビったであろう女子高生のテンションより高いぞ。 『…―ちょっとお前途中で代わんなやっ。あ、もしもし?そういうことなんで、今カラオケにいまーす。』 「あ、もしもし仁宮? ちょっと相談…」 「あとちょっとで俺の曲始まっちゃうんで、それじゃっ。』 あ、切れた…。 完全に、先輩の頼みよりカラオケだったじゃん。 何で先輩<歌なんだよ。 どんだけナメられてんだよ… 「あーもーっ、どうしろって言うんだよ~っ。 ……ん?」 何だこれ、ダンボールの一番下にメモみたいのが… "3104様へ。 サンプルとしてこちらの試作品No.3104をお渡しします。" 3104って… 俺の部屋の番号… てことは… 俺宛てってこと…? この人形って、 俺のモノなの…!? .
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