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こんな事言ったら贅沢な悩みだなんて皆に言われそうだけどさぁ…
俺だって何かしら期待したいんです。三ツ葉の言う通り青春ド真ん中みてーな事とか。
多少の冒険心くらいは男なら持つべきだよ。そうだよ、みんな小さい頃はヒーローとか勇者とかに憧れてたじゃん。
俺も勇者になって超絶美人なお姫様とか助けて劇的な恋みたいな……あるわけないけど、そんなの。
飛躍し過ぎたけど、ちょっとくらい刺激的な方がいいんだって。理想は…
それが現実的に叶わないから妙に虚しんだろうな……
って、いかんいかん、気分まで天候に左右されて陰鬱になってる。
「おっと……」
雨で滑りやすくなった階段を踏みしめるように気を払って上る。
古びた手すりに、どれも同じようなドア。違いと言ったら記された番号くらいで…寮の出で立ちは、さながらオンボロアパートのよう。
階段を上りきり、人が1人通れるような通路を歩けば、いつもながらに目に映る3104という文字…
「……あれ?」
が、見えなくて…代わりに、デカいダンボールがドアに立てかけられている。
「……何だこれ…」
宅配便か何か…?
もしかして母さんからの仕送りかな…
てか、デカッ!!冷蔵庫でも入ってんのかよってくらい大きいじゃん。通路塞いじゃってるし…
「……割れ物注意って…」
母さん、何を送ってこられたんですか…?心配してくれるのは嬉しいけど…正直、要らぬお世話です。
そして、デリケートな物なのに、雨でダンボールの片面濡れてるよ…
いや、母さんと決めつけるのは早いか。そもそも届け間違いかもしれないし…
俺の部屋の前に置かれてるけど、一応宛先を確認する…。
「…俺の…だよな?」
……宛先は確かに俺の住所なんだけど…何で差出人が不明…?
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