7月下旬 雨 種を植える

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こんな事言ったら贅沢な悩みだなんて皆に言われそうだけどさぁ… 俺だって何かしら期待したいんです。三ツ葉の言う通り青春ド真ん中みてーな事とか。 多少の冒険心くらいは男なら持つべきだよ。そうだよ、みんな小さい頃はヒーローとか勇者とかに憧れてたじゃん。 俺も勇者になって超絶美人なお姫様とか助けて劇的な恋みたいな……あるわけないけど、そんなの。 飛躍し過ぎたけど、ちょっとくらい刺激的な方がいいんだって。理想は… それが現実的に叶わないから妙に虚しんだろうな…… って、いかんいかん、気分まで天候に左右されて陰鬱になってる。 「おっと……」 雨で滑りやすくなった階段を踏みしめるように気を払って上る。 古びた手すりに、どれも同じようなドア。違いと言ったら記された番号くらいで…寮の出で立ちは、さながらオンボロアパートのよう。 階段を上りきり、人が1人通れるような通路を歩けば、いつもながらに目に映る3104という文字… 「……あれ?」 が、見えなくて…代わりに、デカいダンボールがドアに立てかけられている。 「……何だこれ…」 宅配便か何か…? もしかして母さんからの仕送りかな… てか、デカッ!!冷蔵庫でも入ってんのかよってくらい大きいじゃん。通路塞いじゃってるし… 「……割れ物注意って…」 母さん、何を送ってこられたんですか…?心配してくれるのは嬉しいけど…正直、要らぬお世話です。 そして、デリケートな物なのに、雨でダンボールの片面濡れてるよ… いや、母さんと決めつけるのは早いか。そもそも届け間違いかもしれないし… 俺の部屋の前に置かれてるけど、一応宛先を確認する…。 「…俺の…だよな?」 ……宛先は確かに俺の住所なんだけど…何で差出人が不明…? .
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