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…宅配便ではないな。
この物騒な世の中、どこの馬の骨かも分からない奴の荷物なんて受け持つことはしないだろうし、
何より届け方が雑過ぎんだろ…。
「……どうしよ。」
ここに置きっぱなしにしても周りに迷惑かかるしなぁ…。雨の中、立ち往生も嫌だし…とりあえず部屋ん中に入れようか…。
「っいしょ、」
扉を開けるため、ひとまずダンボールを通路に押しやる。…あ、なんだ、思ったより軽くてびっくりした。
ただ…これ、このデカさのダンボールが部屋に入るかどうかだよ…。
開いたドアにストッパーを掛けると、再びダンボールを持って中に引きずり込もうとするんだけど上手く行かなくて…
結局、もう一度通路に出して押し込むようにしてたら何とか入った。
大きさもホントにギリギリだったみたい。濡れた面の形が大分変形してる。
とにかく入って良かったわ、お陰で自分まで雨に濡れちゃったけどさ…
そのまま、リビングの開けた所まで押しやるとドアを締めて一息つく。
「………はぁ、」
部屋に入るのに一苦労するなんて思っても見なかった。
ビショビショになって気持ち悪くなった夏服を脱ぎ捨てると洗濯機に放り込み、タンスから出した部屋着に着替える。
といっても、上はTシャツで下がパンツ一丁という親父スタイルですが…夏場だしね。1人はこういう時こそ楽だから。
「……あ、」
格好だけ寛ぎモードになったけど、肝心なこと忘れてた。
「…どうすんだよ、これ…。」
俺の部屋の大部分を占領するように鎮座するコイツ。そう、この傍迷惑なダンボール!
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