7月下旬 雨 種を植える

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その日は確か、小雨で空気が湿っぽくて生暖かい感じでさ… 生徒会の用事で帰りが遅くなったから、一年の会計の仁宮と途中まで一緒に帰ろうって話してたら、 「おーい、正ちゃーん。カズちゃーんっ。」 部活終わりにも関わらず、あり余る程元気に手ぇ振ってくるクラスメートの三ツ葉も誘って三人で帰った。 今思い出そうとしても思い出せないような下らない話しで盛り上がって… どんな流れでそうなったかは分かんないんだけど、 憧れのhigh school life的な流れになったんだっけ… 「俺ねー、高校とか入ったらさ、もっとこう何か青春ど真ん中っ!みたいな出来事があると思ったんだけど…気づけば部活ばっかだよ最近。」 「いいじゃん。三ツ葉さん、端から見たらさっきなんかスゲェ青春漫画でしたよね?正さん。」 「だよなー。あれで空が晴れてたら完全に消臭スプレーのCMだよな。」 汗で濡れた髪を掻き上げる姿なんてテレビでよくありそうな画だったよ。って伝えたら、 「えー、オファー来ちゃう? 俺映っちゃう?」 って、また三ツ葉がおちゃらけるもんだから可笑しくて 「あっはっはっ、 んなワケねーよ。」 「俺、あんたが宣伝する商品だったら絶対買いません」 「そこは買えって。 俺サービスしちゃうよっ?」 「キャラクター直々に売るんですか。働き者だなぁ」 傘を持つ反対の手でピースを作る三ツ葉に半笑いで仁宮が返す。三ツ葉本人はそれがツッコミだとも思わずにまた話が進む。 「そうだよ、俺っホント働き者だよ!明日だって練習試合で他県と試合だもん」 「バスケ部は大変だなぁ。毎週どっか行くんじゃない?」 「うん。まぁー、大会も近いからしょうがないし、新しい友達とかも出来たりするから楽しいけどねっ?」 「あれ、アンタ人見知りでしょ。よくもまぁ、自分がフレンドリーみたいな言い方して。」 「そんなことないもん、俺フレンドリーだよっ。ザ・フレンドリーっ!」 「何なんすか、ザ・フレンドリーって。どんだけ親しげなんだよ!?」 という流れで始まった幼なじみ同士のテンポの良い会話にまた笑わされた。 .
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