瞼映写機

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
虚ろな瞼に映るのは 掠れた色彩 捲り上げた布切れの隙間から 滑り込んでくるのは 凍てつくような 空気 だから 足元から崩れ落ちてゆく 残酷な現実達 灰色に見える未来と 向き合って 笑い合えば 空虚な映像が脳写される 待望んでいた時間は 指の隙間を滑り落ち やがて地の上で 朽ち果てる だから 何でもないような その欠片を拾い上げて 透明なデイッシュプレートの上で 甘焦げ茶のソースを垂らしてみる 伏せた睫毛に輝くのは まばゆい光の屑 ほら ご馳走の出来上がり
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!