第一章

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 東歴2015年、どこにでもありそうな地方都市にあり、それなりの偏差値を持っていれば通えそうな高校。 『公立日出市立西南高校』 それなりの偏差値のせいか上は有名大学進学を目指す生徒から下は退学ギリギリの不良生徒までいる高校だ。 西南高校に通う生徒に学校の不満は何かと問うと間違いなくこう返ってくる。  学校までの道のりが厳しすぎる。と……  それもそのはず、西南高校があるのは、日出市で最も高い山の中腹なのだ。 バスはふもとまでしか通っておらず、生徒達は毎日この山道を20分は歩いて通わなければならないのだ。  自転車……という考えもあるのだが、そう考えるのは恐らく新入生か余程の体力自慢だけだろう。  そんな山道を全力で走っているのはどこの体育会系なのだろうか? 「はぁっ!はぁっ!ち、遅刻する!」  まだ夜は寒いと言っても朝は太陽の日差しが厳しくなり始めたこの時期、少年はその顔に大粒の汗で光らせながら西南高校へ続く道を全力で走っていた。
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