第一章

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「何で?風助だってさっきの見てたでしょ?」 「あれにはちゃんとした原因があるの」 「原因って?黒宮さんの黒魔術が原因でしょ?」  当たり前の様な表情で光太は言う。 「馬鹿……さっき足立先生な……職員室でケーキ食ったんだよ」 「それがどうしたの?」 「そのケーキ……二週間前のケーキだったんだよ」 「つまり……腐ってたってこと?」 「そういうこと。まぁ冷蔵庫に入れてたって言ったってケーキは二週間もほっといたら腐るだろうな……俺だったら食わない」 「本当?何か嘘臭い気がするんだけど……」 「信じるも信じないもお前の勝手だ。俺はさっき職員室で見た事をそのまま言っただけだ」  そう言って退屈そうに風助は外を眺める。 不意に窓に水滴が付着する。 「雨降ってきたみたいだな」 「え~……僕傘なんて持ってきてないよ……」 「俺だってそうだよ……自転車で来たっていうのに……まぁ誰かのを借りて帰るかな」  そう言って二人は本降りになりだした空を見上げた。 灰色の空からは雨が無数に降り注いでいた。
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