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暑い。
蝉の声にイライラしながら私は、扇風機の前でサイダー味のアイスを食べる。
後ろに立っていた男が私にローキックして来た。
「何よ!!」
「何キレてんだよ。お前、そこで休憩してる暇あんの?」
「ない」
キッパリとそう答えると、男は「はぁ」と大きなため息を漏らした。
「康太も食べたいの?」
「ちげぇよ、もう俺嫌だ」
谷康太。
ほんの4ヶ月前に卒業した高校の同級生で、彼女有り。
「ねぇ、しーちゃんは?」
「大学だよ」
「ふぅん」
康太の彼女のしーちゃん。
しーちゃんは私の親友で中澤しほりという。
「はい。休憩終わりにしような、締め切り間に合わないから」
「う~…、父親みたい」
「うっせぇ」
腕を引っ張られて無理矢理、机の前に座らされた。
私の職業は絵を描くことで、今回は雑誌に3ページ分載せるためのイラストを書いている途中だ。
「康太、暇なの?」
「は……?」
「朝一で家に来たから」
机に座り、反り返りながら康太を見る。
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