平凡な日常の第1話

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「お~い、ツナ。学食行こうぜぇ」 彼の耳に能天気な声が入ってきたのは苦痛でしかない四時間目の英語が終わった直後だった。 「だから、ツナって呼ぶなって。津波だ、津波。ミを一文字入れるだけなんだから、略すなよ」 ブツブツ言いながら立ち上がった彼の名は早河 津波。 現役高校生である。 「いいじゃん、ツナはツナだよ。ってかお前にツナミなんてカッコイイ名前は似合わねぇよ」 「うるへー、自分でも分かってるわい」 さっきからツナツナ言っている人物な津波の幼なじみであり、親友でもある天野 治だ。 二人はかれこれ幼稚園からの付き合いである。 お互い、相手の事なら何でも知っていた。 「おい、一輝。お前も来るんだろ?」 治は少し離れた席の男に話しかける。 「あぁ、もちろんだ」 一条 一輝。 彼の津波達との付き合いは高1からだが、今ではそんなこと感じさせないくらいに仲良くなっていた。 基本的に彼らはこの三人で行動している。 いつの間にか二人のもとへ来ていた一輝を加えて三人は学食へ向かった。 「そういえば津波は夏休み何か予定あるのか?」 学食の食券を買う列で一輝が津波に話しかけた。 「ん~?何で?」 「いや、特に意味は無いんだが……強いていうなら、会話のきっかけ作りだ」 「なる~。そうだな、とりあえず旅行とかそんな大きなイベントは企画してないよ。行くとしたらプールぐらいじゃね?まぁ、そんときはお前らも誘うけど」 チラリと治を見る津波。 彼の目には美人な先輩の姿に夢中の治が映った。 「………治はつれていかない方がいいかもな」 「ちがいない」 津波に深く頷く一輝だった。 「ってか何食うよ?」 治を現実世界に戻すため、津波は彼に話しかけた。 少し残念そうな顔をした治は、 「きつね」 と言ってまた美人探しを始めた。 「きつね……ね、……お?」 そういえばと津波が一輝に耳打ちする。 二人がニヤリとしたのはそのすぐ後であった。
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