平凡な日常の第1話

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「じゃあな、瑞希」 津波たちは瑞希と教室の前で別れる。 実は瑞希だけ違うクラスなのだ。 4月頃はそれでずっと瑞希の機嫌が悪かったが、今は落ち着いている。 「あ、ちょっと待って津波」 すぐに教室に入ろうとした津波を瑞希が呼び止めた。 「ん?」 津波が振り返る。 「今日さ、お母さんもお父さんも帰ってくるの遅いから、津波の家に行っていい?」 一歩間違えれば誤解を生むような言い方だが、これは親公認のたまにあることだ。 つまり、瑞希は津波の家にご飯を食べに行きたいと言っている。 津波はそれをよく理解しているので、普通に返事をした。 「もちろん、だけど手伝えよ?」 「わかってるわよ、じゃあ今回も買い物行く?」 「そうだな、部活終わるまで待っててくれるか?」 「いいよ♪また図書室で待ってる」 瑞希は元から上機嫌だったが、さらに上機嫌になって自分のクラスに向かった。 「ラブラブだねぇ、ツナ」 「茶化すな」 「いたっ!」 コツンと治の頭を小突いた津波。 内心、瑞希とならそんな関係になってもいいと考えていた。 「メシだぁっ!!」 昼休みのチャイムと共に立ち上がる治。 それを遠目に見ていた津波まで恥ずかしくなった。 「うるさい、治。またきつね食わされたいか」 「ちょ、そんな地獄は見たくねぇ!?」 あちこちから治を笑う声が聞こえた。 治はクラスのムードメイカーだった。 そんな楽しい雰囲気の中、扉の近くにいた女子が口を開く。 「早河くん、先輩がきてるよ」 思い当たる人物は一人しかいなかった。
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