~チェシャ猫~

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一瞬の出来事。 流れるような動作。 その動きはまるで、猫。 少年は私の目の前に指を突き付けると言った。 「道なら森が教えてくれる。ここはクローバーの森。耳を澄まして、目を凝らして。木々が望む場所を指し示す」 少年は茫然としている私をみてまたニヤリと笑う。 そしてトンと地面を蹴って跳ぶと、私から少し離れた木の根本に着地した。 「迷ったら、ヒントはあげるけどそれ以上は教えられない。道は自分自身じゃないと進めない。じゃあねお姉さん、またどこかで会おう」 それだけ言うと少年は森の闇に溶け込むように消えて行った。
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