~チェシャ猫~

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『森が道を教えてくれる。木々が望む場所を指し示す』 さっきの少年の言葉をふと思い出す。 私は恐る恐る顔をあげるとゆっくりあたりを見回した。 さっきまでと変わらず暗い森。 木々はただただ静かにそこに立っている。 (だいたい、森が教えてくれるって木が喋るわけないじゃない…) まさか、などと期待してしまった自分に思わずため息がこぼれる。 「もう!いったいどうしたら良いっていうんですかぁー!早く帰らないと…アリアが待ってるよ…」 何をどうしたらいいのか分からなくなって1番近くの木に八つ当たりしたその時だった。
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