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かのこは職場でヘルパー達のまとめ役をやる事になった。ヘルパーのシフトを組んだり入居者との間に入ったり・・・精神的に疲れる毎日だった。
和江は無口で他の職員達に関わろうとしない。美紀は美紀で文句ばっかりだ・・・悩みがつきない。皆をまとめるというのは考えているより難しい。
「杉浦さん」その声に振り向くと佐伯が立っていた。
「どうしたの浮かない顔して?」
「あっそんな顔してました?何でもないですよ。」
かのこは慌てて笑った。
「そうだ佐伯さん婚約されたんですってね。杉田さんが嬉しそうに教えてくれましたよ。」
「杉田さん喋っちゃったんだ。自分で報告しようとしてたのにな。」
佐伯は仕事関係で知り合った女性と婚約をしたばっかりだ。
「式はいつなんですか?」
「来月です。急なんですけどね・・・」
どうやらできちゃった婚らしい。杉田が内緒でかのこに教えてくれていた。
「そうですか。おめでとうございます。」
「涼さんにも会いたいんだけどな。色々と話がしたいって言っておいて。」
佐伯と涼で男の話をして以来杉田と出かける時には佐伯も一緒だったりしていた。2人は兄弟のように仲がよくなっていた。かのこにはその理由はわからないでいたが。佐伯はかのこを見つめていた。自分が愛した人。そして諦めた人。今は素直に幸せを願っている。
「涼さんに伝えておきますね。それでは失礼します。」
かのこは仕事に戻った。
「杉浦さーん早くー」職員に呼ばれ事務所に行くと美紀が他の職員と
喧嘩をしている。髪の毛を引っ張ったりともうすごい状態だ。かのこは2人を引き離し美紀を応接室に呼んだ。
「どうしたの?」
美紀は答えようとしない。
しばらく沈黙があってから
「あたし辞める。もうやってらんないこんな仕事。」
そういった。事情がわからず美紀をその場に残し喧嘩をしていた職員の所に行って事情を聞いた。
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