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由紀子は男を奥の部屋に行かせ涼と2人で話を始めた。
「営業君不思議そうな顔してるね?」
由紀子がおもしろそうに笑っている。
「いや・・・予想しなかった展開なもので・・・」
「そうだね。私もあの人が自分と一緒に生活してるのが信じられないよ。
もう2度会わないと決めていたのにさ。なんだろう・・・惚れた男ってなかなか忘れられないのよ。裏切られてるってわかっていても嫌いになりきれないの。自分の前に現れちゃうと受け入れちゃうんだよね・・・
惚れた弱みってやつかな・・・」
由紀子の言葉に涼の不思議の謎は解けた。理屈ではない。愛してしまったものは仕方ないのだ。そう考えても仕方がない事なのだ。
「そうだ。もう結婚したんだっけ?」
由紀子が涼に聞いてきた。
「いや・・・彼女のお母さんが亡くなってしまって喪があけてからと思ってます。でも一緒には住んでるんですよ。」
涼の顔が緩んできた。
「なんかムカつくな。そのニヤついた顔。」
由紀子は涼の頬を思い切りつねった。
「でもさ営業君たちの恋って素敵だね。2人とも一途なんだもん。
恋からちゃんと愛に変わったしね。すごくいいよ。」
涼は頬をさすりながら笑顔になっていた。
久しぶりに由紀子と喋り元気をもらって涼はかのこの待つ家へとかえっていった。
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