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かのこは訪問ヘルパーをしている。
1人暮らしをしているお年寄りの家に訪問する事が多い。
かのこはこの仕事が好きだった。
誰かの為に少しでもお手伝いができるのだから。
「かのこさ~ん」
かのこは会社の上司に呼ばれた。
「田中のおじいちゃんが亡くなって1件減ったでしょ?新規に1件やってくれないかな?」
2週間前にかのこが訪問していたおじいちゃんが亡くなったのだ。何度か経験しているがやはり辛い。でも気持ちを切り替えないといけない仕事でもある。
「はい。いいですよ。火曜日と木曜日になりますか?」
簡単な打ち合わせをしてかのこは新しい訪問先に行くことを決めた。
「さっそくで悪いんだけど・・・明日からでいいかな?」
上司はお伺いをたててるようだが行ってくれと言ってるのと同じである。
「はい。わかりました。引継ぎは誰ですか?」
「あのね・・・これ他の会社からまわってきた仕事なのよ。なんか難しい人みたいですぐにヘルパーの交代を要求してくるみたいなのよね。だから引継ぎなしでやってもらえる?かのこさんベテランだから大丈夫よ~そこに書類あるからさ。」
そう言いながら上司はかのこが何か言い出す前にその場を離れてしまった。
断られたら嫌なのだろう。
かのこはベテランと言われてもまだ23歳。3年仕事をしていればベテラ
ンの部類に入るのかもしれないが。
かのこは訪問先の書類に目を通す。
「下半身不随か・・あれ?年齢30歳って若いんだ・・なんか不安だな・・・」
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