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(4) 執念
41階のフロアー、高見沢がそこで見たものは、残念ながら何の変哲もないオフィススペース。
白っぽい壁に囲まれた筒状の長い廊下が天井灯に照らされて、ただ単に続いている。
壁沿いには、ドアーが普通に並んでいる。
オフィスの集合体、そこからは、あの神秘的な光を放つような気配は全く感じられない。
「何でやねん、・・・、こりゃ、ぜんぜんチャウで」
日々一杯ある業務遂行上での失態、その挫け切った精神を蘇らせてくれたあの色気なパープルの輝きは微塵もない。
高見沢は、何か未知なるものの遭遇を期待し、この最上階まで昇って来た。
しかし、今、目の前にある平々凡々たるこの現実。
そこには目新しいものは、何もない。
「ちっともオモロくもないで、どこにでもあるオフィスの風景やんケ、だけどなあ、・・・」 やはりどうしても合点が行かない。
あの紫の光の発光源が、このビル内に絶対にあると信じたい。
高見沢は、四一階のフロアーを丁寧に探し回ってみる。
しかし、どこを探し回ってもそんなミステリアスな光源は現れない。
「クッソー、時間切れか」
高見沢は、もう諦めて帰ろうかと窓の外の夜景を眺めてみた。
「えっ、これって」
突然気付くのである。
窓からの夜景が、ほのかに薄紫がかっている。
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