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あの妖艶な光は､どうももう一つ上の階から発せられているようなのである｡
｢そうなのか､41階って､･･･､ここは最上階とﾁｬｳんや､すなわち､本当の最上階は42階､つまり死に番号の42階がこの上にあるという事か､そこに神秘のﾊﾟｰﾌﾟﾙｿﾞｰﾝがあるんやで､絶対に｣
さすが高見沢､人生ﾊｰﾄﾞﾙを幾つも越えて生きて来た｡
そのｻﾊﾞｲﾊﾞﾙｽｷﾙ(生き残り技)は､要は､興味ある事だけは､ねちっこく､他はｻﾗｻﾗと流す事｡
今回もそんな偏りのあるしつこさで､遂に光源がありそうな場所､その当たりを付けたのである｡
しかし､どう探索しても､41階から上へと上がる階段がない｡
どのようにして42階に行ったら良いのかわからない｡
こうなれば､関西中年男はますますﾑｷになって来る｡
ﾋﾞﾙの外壁をよじ登っても42階に行ってみたいと必死｡
一体全体､どうしたら42階に行けるのであろうか｡
高見沢は､階段を諦め､ｴﾚﾍﾞｰﾀｰで何とか上へ上がれないかと考え出す｡
行き先表示は､地階〔B3〕から〔41〕までのﾎﾞﾀﾝしか見当たらない｡
それ以外の番号はない｡
高見沢は､ﾊﾟｽﾞﾙを解くように､しつこく考えている｡
そして､ﾊﾀと気付くのである｡
｢そうか､わかったぞ､表面上表れていない番号や記号を使いたい時は､ﾊﾟｿｺﾝと同じ､･･･､そう､ｼﾌﾄｷｰの長押し操作｣
しかし､ﾊﾟｿｺﾝのように気の利いたｼﾌﾄｷｰはない｡
｢長押し操作が必要な事は､わかったぞ､だけど､どれをｼﾌﾄｷｰとして使ったら良いのかなあ､うｰん｣
まったく高見沢の動物的な勘である｡
｢あっそっか､これや｣
それは､ｴﾚﾍﾞｰﾀｰ上昇下降時､どんなに押しても全くその運行に影響を及ぼさない〔閉ﾎﾞﾀﾝ〕｡
早速ﾄﾞｱｰ〔閉ﾎﾞﾀﾝ〕を押しながら､4と2を押し込んだ｡
世の中って､不思議な事があるものである｡
見事にｴﾚﾍﾞｰﾀｰは､それはそれは静かに､そして､厳かに､天にも昇るが如く上昇したのである｡
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